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あれ?
私、死んだのかな。
辺りは一面真っ白。
でもそこに一本の木がある。
桜?
白い花びらが落ちてきてる。
手を伸ばし花びらを1枚受けとめてみる。
違う。
鳥の羽根・・・
私はなんの鳥だろうと上を向いた。
逆光の中に人陰が映る。
上で輝いているのは太陽ではないようだ。
もう少し、柔らかい光。
なんだろう?
目がなれてきた頃。
木の上の人物が話しかけてきた。
「どうしてここに来たの?」
え。
天使だ。
なぜそれまで気付かなかったのか
人に翼が生えている。
そっか。
やっぱり私死んじゃったんだ。
「あなた、名前は?」
また、その天使が話しかけてきた。
「私は・・・」
!
なぜか自分の名前が言い出せなかった。
いや、忘れているわけではない。
ただ、その言葉を口にできなかったのだ。
「どうしてここに来たのかわかる?」
天使はもとの質問に戻した。
「死んじゃったからでしょ」
私は冷静に答える。
「どうして死んだの?」
天使の表情は見えないはずなのになぜか微笑んでいる様な気がした。
「手首を切ったの」
「なぜ?」
「なぜって・・・」
私はそこでわからなくなった。
私はなぜ自殺したんだろう?
そうしなければならないと思ったのはなぜなんだろう。
天使は微笑んでそこにいる。
ただ微笑んでいるだけなのに、それが私を安心させた。
「少し、疲れてるんだね」
羽根はヒラヒラと舞い落ちる。
何か考えなきゃいけないのに。
全てを忘れろと言うように・・・・