2019年 12月のアーカイブ

― 星歌う地にて ―

38:星歌う地にて 文字数:約739文字  貴方だけに伝えたい。  待っていると― ずっと? ――――――――――――†――――――――――――  星達が煌めく夜空。  私は視線を上へとあげた。  星の下には闇。真っ暗で巨大な山の影。  私は頂上に行かなければならない...

― 空果てぬ地にて ―

37:空果てぬ地にて 文字数:約637文字  一人消え行き、想いが残る。  誰にも知られぬように― 何処へ行くの? ――――――――――――†――――――――――――  夢見人は夢を見ない。  永遠の時を、先の見えぬ時間を―  見つめ続けるだけ。  人の思いは消えるこ...

― 花舞う地にて ―

36:花舞う地にて 文字数:約389文字  一人消え行き、花が咲く。  誰にも知られぬように― なぜ咲くの? ――――――――――――†――――――――――――  その手紙が届いたのは偶然。  波間に漂うビンの中に一通の手紙が入っていた。  中には 『いつか出会う...

― 神の降り立つ地にて ―

35:神の降り立つ地にて 文字数:約890文字  誰も踏み入れてはならぬ地。  神話の伝わるその場所は― 何処なのでしょう? ――――――――――――†――――――――――――  その草原は人の立ち入らぬ場所。  昔からの言い伝えで神の降り立つ神聖な土地なのだと言う。...

― 水中日 ―

34:水中日 文字数:約694文字  満たる人の愚かさ故に  地に未知たる夢― 陽に沈む? ――――――――――――†――――――――――――  地に落ちたる優美。  死に逝く時を着飾るように……  私達の世界がゆっくりと水面に飲み込まれて数日。  ついに逃げ場もなく...

― 紅薔薇の輝石 ―

33:紅薔薇の輝石 文字数:約472文字  小さな子供の瞳。  紅薔薇に惑わされて― 何見ゆる? ――――――――――――†――――――――――――  ナイテル……  鳴いてる。  泣いてる。  声が聞こえる。  泣いてるのは、子供。  こんな森深くで? 「どうし...

― ふたつの瞳 ―

32:ふたつの瞳 文字数:686文字  奇妙な世界とこちらの世界。  もう一つの瞳は― どこにいる? ――――――――――――†――――――――――――  紅い瞳の女の子が僕を覗き込む。  僕そっくりの顔で笑いかける。  それは、とても奇妙な感覚で僕もつられて笑いかけ...

― 翼杖 ―

31:翼杖 文字数:約722文字  真白き翼の天の使い。  地に落ちたる者は― 何望む? ――――――――――――†――――――――――――  翼を。  地に落ちたる天の使いに― 「ありがとう」  少女がニッコリと私に微笑む。 「また、お金落とさないようにしっ...

― 赤宝玉 ―

30:赤宝玉 文字数:956文字  赤い赤い炎晶玉。  それが映し出すものは― 何なのでしょう? ――――――――――――†―――――――――――― 「どういうこと?」  呆然とたたずむそこは、確かに私の里だった。  今あるのは、すすに塗れた残骸と乾いた風。  1年...

― 籠の鳥 ―

29:籠の鳥 文字数:475文字  幸せの鳥は籠の外。  いつか― 飛べますか? ――――――――――――†――――――――――――  幸せの鳥は籠の外。  日々、私を見つめるだけの目はガラス球の様。 「歌って」  彼女は呟くように言う。  さらさらと流れる風に乗...

― 蒼き光 ―

28:蒼き光 文字数:約836文字  招かれ手繰り寄せらる。  其処にいた者― 何処へ行った? ――――――――――――†――――――――――――  その声が聞こえたのは、必然だったのかもしれない。 『……何処行くの』 「え?」  教会で一人お祈りをしていた私...

― 夢見る日々の果て ―

27:夢見る日々の果て 文字数:約766文字  変わり逝く時代。  立ち止まっては― 振り返ってますか? ――――――――――――†――――――――――――  いつか……  いつか変われる日を夢見てる。  退屈でつまらない日々。  淡々と日々は過ぎていき、心に留まる...

― 消えない笑顔 ―

26:消えない笑顔 文字数:927文字  いつか見た笑顔。  そのままでいては― いけませんか? ――――――――――――†――――――――――――  その子は始めから目立っていた。  黒い肌にキラキラ光る青い瞳。  僕達とは違う異邦人は、明るくて活発だった。  クラ...

― 雪狼の森 ―

25:雪狼の森 文字数:約698文字  白い小さな結晶の舞。  どこかで誰かが― 呼んでいませんか? ――――――――――――†――――――――――――  風の音しか聞こえない山奥。  雪の舞う季節、あたり一面の白い空間。  その場所に小さな叫びが聞こえてくる。  い...

― 再生への樹木 ―

24:再生への樹木 文字数:約524文字  始まりゆえの終わり。  時の向こうに― 何が見えますか? ――――――――――――†――――――――――――   それは、小さなきっかけ。  とても小さくて誰も気づかないほど。  自身さえも気がつかないほどの。  終末― ...

― 眺める樹 ―

23:眺める樹 文字数:約634文字  虚無と雑音と大空。  その向こうまで― 往けますか? ――――――――――――†――――――――――――   雑音にかき消されて、その声は届かない―  小さな声で必死に伝えていた。  誰にも聞こえない微かな声。  人々は足早に...

― 人を眺める樹 ―

22:人を眺める樹 文字数:651文字  目に見えない痛み。  他者の何気ない言葉― 気にしませんか? ――――――――――――†――――――――――――   手を伸ばして届きそうな気がした。  緑の茂る大樹の下、私は幹にもたれる。  サワサワとなる木々の音に耳を澄ま...

― 星に佇む樹 ―

21:星に佇む樹 文字数:約451文字  窓に広がる無限の空間。  その向こうまで― 往けますか? ――――――――――――†――――――――――――   「還りたい」  それがばばの口癖だった。 「水が溢れ、樹が茂るあの大地へ―」  繰り返し繰り返し、僕に聞かせ...

― 泡色教室 ―

20:泡色教室 文字数:約583文字  学び舎での最後の日。  小さな恋色― 探しませんか? ――――――――――――†――――――――――――  だーい好きだよ。  そう伝えられたらいいのに―  それはちょうど帰ろうと教室を出た時。 「うわっ」 「え?」  人...

― 迷い森の天使達 ―

19:迷い森の天使達 文字数:約860文字  サラサラざわめく木々の間。  何処からとも無く― 声が聞こえませんか? ――――――――――――†――――――――――――  ……。  迷った。  地図を片手にうっそうとした森を見上げる。  そこには、天使達がヒラヒラと涼...

― 純白魔女 ―

18:純白魔女 文字数:約766文字  真白き空気と真紅の雫。  純白ゆえに― 行き着いた先? ――――――――――――†―――――――――――― 『人は弱いから』  そう言って、弱々しく笑っていた。  女神と呼ばれた魔女。  僕があの人に会ったのは母に連れられて...

― 天使の空間 ―

17:天使の空間 文字数:約634文字  刹那の空間。  また― 会えますか? ――――――――――――†――――――――――――  ここ……どこ?  気がつくとそこは白い空間だった。  光が降り注ぎ、風が通り過ぎる。  足元には延々と続く綿の絨毯。 「何しにきた...

― 天使の約束 ―

16:天使の約束 文字数:約417文字  一つの小箱。  開きたい― 開けない? ――――――――――――†――――――――――――  手の上には一つの小箱。  ついさっき見つけた。  机の奥深くで眠っていた小箱。  これが何なのか知っている。  私を解き放つモノ。...

― 天空少女たちのバレンタイン ―

15:天空少女たちのバレンタイン 文字数:約811文字  甘い砂糖菓子。  たまには少し― 息抜きに? ――――――――――――†―――――――――――― 「何?」  差し出されたそれを見て私はきょとんと聞き返した。 「チョコレート。頑張って作ってみました♪」  ...

― 草原 ―

14:草原 文字数:約249文字  見据えた先。  そこにあるのは― 何ですか? ――――――――――――†――――――――――――  サワサワと  サワサワと  ゆったりと時間が流れる。  目の前には黄金色の草原。  長い黒髪が風に揺られる。  ユラユラと  ユ...

― 少女の問い ―

13:少女の問い 文字数:約434文字  それは常に隣にある。  生きるという事は― どういう事? ――――――――――――†―――――――――――― 「生きているって何?」  不意にその子は聞いた。  ひざを抱えたままソファーに座って、言葉を続ける。 「死にたい...

― 贅沢な寂しさ ―

10:贅沢な寂しさ 文字数:約689文字  キラキラ耀くイルミネーション。  それが寂しいのは― 何故ですか? ――――――――――――†――――――――――――  ぺったりと窓に付けた手からヒンヤリとした感触。 「何を見ていらっしゃるのです?」  後ろから事務的な...

― 再生 ―

9:再生 文字数:約386文字  懐かしい思い出。  それは― 何時からあるの? ――――――――――――†――――――――――――  サクッ  踏みしめた雪が小さく音を立てる。  スッと見つめた先には古い大木。  がっしりと根を下ろし、悠々とそれは立っていた。 ...

― 夜の闇 ―

8:夜の闇 文字数:約651文字  夜の闇と月の光。  泣き声が微かに響く― 何処から? ――――――――――――†――――――――――――  風がゆっくりと通り過ぎる。  髪が微かに揺れた。  ……ここ何処?  昼間とは打って変った闇の空間。  ママ?  泣きそうに...

― 夕日 ―

7:夕日 文字数:約505文字  煌めく夕日。  遠くを見つめる瞳に― 何が映る? ――――――――――――†――――――――――――  男はただじっと夕日を見詰めていた。  風に舞う砂埃。  赤く染まる大地。  微かに光る空の星。  遺跡の中に入るでもなく、調べるの...

― 終わりの薔薇 ―

6:終わりの薔薇 文字数:約722文字  はらはらと舞い落ちる花弁。  人ならざる者の想いが―響いてきますか? ――――――――――――†――――――――――――  崩れかけた遺跡の中。  冷たい風が脇を通り抜けていく。  赤い紅い薔薇の花園が広がっていた。  遺跡の...