24:再生への樹木
文字数:約524文字
始まりゆえの終わり。時の向こうに― 何が見えますか?
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それは、小さなきっかけ。
とても小さくて誰も気づかないほど。
自身さえも気がつかないほどの。
終末―
「やあ、やっと来てくれたね」
少年の声には元気が無い。
「待っていたの?」
「相変らず、綺麗なままなんだね」
瞳に映る少女に彼は笑顔で言った。
「そうかしら?そう見えるのは幻でも?」
「綺麗だよ」
目を細め眺めるような物言いだった。
「私にはあなたの方が綺麗よ。命の限りの時を生きて
今、散リ逝こうとするあなたが―
私のこの姿は貴方が見たいと思う姿。
決して、本当の姿の私を見ようとできる者はいないのよ」
「それでも、君は傍にいる」
「暇だっただけよ」
そのまま二人は無言だった。
「ねぇ。聞いてくれる?
僕は君のような時間は知らないけど、
それでも、君も生きてるんだよ……リュラ」
少年の声が響いて鳴った。
それと同時に一本の大樹が倒れた。
辺りには砂煙が舞った。
その中で私は枝の方々から浮かぶ、光に包まれた。
「連れてくよ。シンジュ」
魂の安らぐ場所への道案内は私の仕事じゃないけど、
貴方がそれを望んだから。
一つの時代の終わりを告げて、
繋ぎ行く先の未来を見つめるための。
再生―
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