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― 再生への樹木 ―

2023/09/03

24:再生への樹木

文字数:約524文字
 始まりゆえの終わり。
 時の向こうに― 何が見えますか?

――――――――――――†―――――――――――― 

 それは、小さなきっかけ。
 とても小さくて誰も気づかないほど。
 自身さえも気がつかないほどの。

 終末―

「やあ、やっと来てくれたね」
 少年の声には元気が無い。
「待っていたの?」
「相変らず、綺麗なままなんだね」
 瞳に映る少女に彼は笑顔で言った。
「そうかしら?そう見えるのは幻でも?」
「綺麗だよ」
 目を細め眺めるような物言いだった。
「私にはあなたの方が綺麗よ。命の限りの時を生きて
 今、散リ逝こうとするあなたが―
 私のこの姿は貴方が見たいと思う姿。
 決して、本当の姿の私を見ようとできる者はいないのよ」
「それでも、君は傍にいる」
「暇だっただけよ」
 そのまま二人は無言だった。

「ねぇ。聞いてくれる?
 僕は君のような時間は知らないけど、
 それでも、君も生きてるんだよ……リュラ」
 少年の声が響いて鳴った。
 それと同時に一本の大樹が倒れた。

 辺りには砂煙が舞った。
 その中で私は枝の方々から浮かぶ、光に包まれた。
「連れてくよ。シンジュ」
 魂の安らぐ場所への道案内は私の仕事じゃないけど、
 貴方がそれを望んだから。

 一つの時代の終わりを告げて、
 繋ぎ行く先の未来を見つめるための。

 再生―




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