2019年 7月のアーカイブ

― 始末 ―

鳴けない子猫は 檻の中 変わらない景色に 慣れてしまった 飛べない小鳥は 鳥篭の中 欲しがる事を 止めてしまった 歩けない子供は おもちゃ箱の中 ガラクタと一緒に 捨てられてしまった <<いつもだよ    詩    声にならない声>>

― 向こう側 ―

扉の向こう側 時間が動かない。 誰一人、私を見るものはなく。 誰一人、私が見るものはない。 振り返る事さえしない。 窓の向こう側。 時間が動かない。 何一つ、私に届く音はなく。 何一つ、私が届ける音はない。 見据える事さえ出来ない。 壁の向こう側。 時...

― 夢を ―

夢を見る……いつか来る行方。 望む手と 願う想いと 叶える力。 それを頼りに 夢を見る。 <<向こう側    詩    手の先>>

― 手の先 ―

差し出す手の先 誰かを支える為の手の先 誰かに支えてもらう為の手の先 私が支える手があれば もっと、強くなれただろう 私を支えられる手があれば もっと、素直になれただろう <<夢を    詩    手>>

― 手 ―

願い手…… 頭を垂れ ただ  時を待つ者 望み手…… 天を見つめ ただ  神に焦がれる者 叶え手…… 人の声を聞き ただ  己を殺す者 掴み手…… 手を伸ばし ただ  己の侭に行く者 <<手の先    詩    闇のゆりかご>>

― 声にならない声 ―

声にならない声。 いつだって、叫びだしそうになる。 それを……押さえ込む。 偽りの仮面をつけて 舞踏会へ。 その華やかな場所で 道化師を演じる。 僕達はそうする事で        生かされる。 研ぎ澄まして  声を聞いて 君の傍―かたわら― 今はま...

― 正義 ―

それは正義なのだと言われた。 その傷は正義なのだと。 自分を守る為の 他者を傷つけない為の 正義なのだと。 チガウチガウチガウ これは罪悪。 自分の弱さゆえの傷 <<声にならない声    詩    成人>>

― 成人 ―

守ってた壁が消えて 守るものがなくなる 支えていた柱が消えて 支えられなくなる 寄りかかる木が消えて よりかかれなくなる 小さな籠から 大きな籠へ 何処へ行こうか 何処へ行こう…… <<正義    詩    見えないもの>>

― 見えないもの ―

香とか風とか音とか 小さな頃は見えてたもの 季節の香 季節の風 季節の音 香とか風とか音とか 小さな頃は感じたもの 花の香 空の風 虫の声 香とか風とか音とか 小さな頃は知ってたもの 宇宙の香 存在の風 時間の声 どこへいったの? も...

― 感じたもの ―

肌が空気を感じていた 心が存在を感じていた 今あるのは無のみ 何も 何も 感じない <<見えないもの    詩    其処にいたもの>>

― 其処にいたもの ―

ポケットの中の夢の国 妖精の羽根をそっと仕舞った 扉の向こうの幻惑の国 ユニコーンの角をそっと撫でた 透き通った空の向こう 時間の欠片をそっと振り返る <<感じたもの    詩    信じたもの>>

― 信じたもの ―

人の言葉 そのままで 裏表など考えず 人の表情 そのままで うわべなど知らず 人の温もり そのままで 見返りなど見えず 純粋なまま <<其処にいたもの    詩    四角い窓>>

― 四角い窓 ―

窓の外 いつもいつも 待っていた。 小さな手を伸ばすことを止め 泣き喚く事をやめて たった一人だけ 来てくれるのを待っていた。 <<信じたもの    詩    鏡>>

― 鏡 ―

鏡の中の私。 どんな顔ですか? 私には私の顔が見えません。 鏡を通して映るのは見知らぬ他人。 可愛い。 なんて言葉は社交辞令。 知ってますか? 鏡の中の私は誰なのか。 鏡の中には 私がいますか? 私には私が見えません。 鏡に映るのは髪の先。 ...

― いつもだよ ―

いつもだよ。 こわいのはいつも。 だから、わたしは へいきなふりをする。 いつもだよ。 ふあんなのはいつも。 だから、わたしは だいじょうぶとこたえる。 いつもだよ。 だから、聞かないで。 平気?と聞かないで。 私は平気だと言うから。 いつもだよ...

― 花雨 ―

花降る時間。 ハラハラと 散る雪のように…… 白く白く 染め上げてゆく路。 遠く遠い場所を 想い還す様に― 雨舞う時間。 パラパラと 落ちる滝のように…… 青く青く 洗い流してゆく道。 まだ無い記憶を 創り上げるように― 花咲く日を待ち続ける...

― 短い詩7 ―

+ 【電話】 + 【同意】 + 【オルゴール】 + 【音】 + 【贅沢】 【電話】 小さく鳴ったベルの音 一度で切れて また、鳴り出す。 誰かの合図の様に 【同意】 「そうだね」って頷く。 「そうだよ...

― 短い詩6 ―

+ 【ガラスケース】 + 【大丈夫】 + 【届く声】 + 【刃】 + 【籠の鳥】 【ガラスケース】 光っているのは箱 その中身には 届かない 【大丈夫】 大丈夫 大丈夫 私は大丈夫 ...

― 短い詩5 ―

+ 【残酷】 + 【彷徨 -ほうこう-】 + 【鬼火】 + 【雨】 + 【カエル】 【残酷】 残される 酷き様。 まだ、ね。まだ―― 【彷徨 -ほうこう-】 辿り着く場所を 求めて 僕らは さ迷っ...

― 短い詩4 ―

+ 【老若】 + 【うさぎ うさぎ】 + 【洋服】 + 【糸】 + 【玖流玖流】 【老若】 20の人は10が若く見え 40の人は20が若く見え 80の人は40が若く見える。 でもね、100以上生きちゃえば 全部、若造に見えるのよ...

― 短い詩3 ―

+ 【今昔】 + 【疑い】 + 【神仏】 + 【新規】 + 【光源】 【今昔】 懐かしくなるほどの 記憶は持ちあわせていない 【疑い】 信じられますか? 何を信じますか? 【神...

― 短い詩2 ―

+ 【凝視】 + 【夢見 現見】 + 【欲求】 + 【置き去り】 + 【贈与】 【凝視】 誰も私を見てないのじゃなく 私が誰も見てないだけ 【夢見 現見】 夢見るように 現実は見られない 【欲求】 ...