2019年 11月のアーカイブ

― 雑音 ―

5:雑音 文字数:約1375文字  無機質な教室の中。  閉ざされた心に― 触れられますか? ――――――――――――†――――――――――――  いつもと変わらないざわめき。  そう― あの子が話し掛けるまで、  それは私にとって『雑音』だったのだ。 「うわ~、...

― 精霊使いと精霊2 ―

4:精霊使いと精霊2 文字数:約1292文字  歩き出す道の果て。  忘れられない記憶の彼方― そこにあるのは? ――――――――――――†――――――――――――  森を抜けるとそこに広がるのは青い青い海だった。 「うわ~主様見て下さい。海です!!海ですよ~」  ...

― 精霊使いと精霊1 ―

3:精霊使いと精霊1 文字数:約1041文字  青い青い水晶玉。  それが映し出すものは― 何なのでしょう? ――――――――――――†――――――――――――  彼女はぼんやりとした青い瞳を私に向けた。  寝ぼけているような声で彼女は言う。 「な……に?」  むっ...

― 祈り ―

2:祈り 文字数:約1112文字  祈りの声が何処からともなく届いてきます。  あれは― 誰の想いでしょう? ――――――――――――†――――――――――――  キィ  軋みながら扉が開かれる。  まっすぐに目を延ばせば神を象った像がそこに見えた。  ステンドグラス...

― 海 ―

1:海 文字数:約457文字  青い青い星の上の内緒話。  ほら― 聞こえますか? ――――――――――――†―――――――――――― 「きれいね」  波の上を滑る風は何処までも遠く続いていく。  日の光がキラキラと海面を照らし出した。 「ああ……」  声はすれど...

― 時の交差の物語:目次 ―

 時の交差の物語  短編集  ……2003~2007年頃の作品……    どこかにいる誰かの物語 1: 海 2: 祈り 3: 精霊使いと精霊1 4: 精霊使いと精霊2 5: 雑音 6: 終わりの薔薇 7: 夕日 8: 夜の闇 9: 再生 10: 贅沢な寂し...

― 全ての終わりに ―

断ち切れない想い。 断ち切りたい想い。 放棄したい居場所。 放棄できない居場所。 終わりにしましょう。 終わりにしたいね。 <<遠い想い    悲しみ    次は準備中>>  

― 遠い想い ―

よせては、かえす波の様。 優しく、冷たく繰り返す。 しんしん積る雪の様。 温かく、残酷に重ねゆく。 <<そう 感じたから    悲しみ    全ての終わりに>>  

― そう 感じたから ―

全ての言葉が攻撃に見えた。 私への責め。 何一つ、理解してないのは私の方。 知っていて、止められない。 責めているわけじゃない。 敵ではない。 でも、味方でもない。 どうしようもない衝動を止められないのは そう、「味方ではない」と感じたから。 <<...

― 聞こえない ―

言葉が聞こえない。 雑音の向こう側。 口を動かす形だけ。 無言。 無音。 聞こえないのは私の声。 <<絶望の淵    悲しみ    そう 感じたから>>  

― 絶望の淵 ―

絶望に蝕まれる。 どんな病より苦しい病。 助けてくれる手が見つからない。 絶望に喰われてゆく。 どんな病より痛い病。 効く薬がどこにもない。 絶望の淵に立って 底を覗いてみた。 大きく開いた死という癒しが 待っている気がした。 <<涙は見せない ...

― 涙は見せない ―

泣かないと決めた。 涙は何も解決しない。 泣かないと決めた。 涙は誰にも届かない。 あの日流れた涙は、 今は誰も見ない。 <<あなたからの「自由」    悲しみ    絶望の淵>>  

― あなたからの「自由」 ―

あなたはそれを「自由」だという。 自由のままに、音を奏でる。 この薄汚れた都会で。 あなたはそれを「自由」だという。 自由気ままに、絵をえがく。 この腐敗した籠の中で。 あなたはそれを「自由」だという。 自由奔放に言葉を綴る。 この穢れた箱の中で。 そ...

― 哀しみの欠片 ―

欠片を拾った。 哀しみの欠片。 空に投げたら きらりと光った。 欠片を拾った。 悲しみの欠片。 海に投げたら ぴかりと輝いた。 <<ほんの 少し・・・    悲しみ    あなたからの「自由」>>  

― ほんの 少し・・・ ―

ほんの少し、優しさがあったなら 何かが違っていただろう。 他人を支える事が 出来たかも知れない。 ほんの少し、思いやりがあったなら 何かが変わっていただろう。 他人を慰める事が 出来たかもしれない。 ほんの少し……微々たる変化を求めてる。 <<永...

― 永遠の刻 ―

永き 刻 ( とき ) 。 眠りつくその時間を待つ。 死屍の躯を引きずりながら。 遠い 刻 ( とき ) 。 眠りつくその刹那を待つ。 死すかな夢を見続けながら。 時はゆったりと近づいてくる。 <<あなたを守る力    悲しみ    ほんの 少し・・・>>  

― あなたを守る力 ―

月の明かり。 静かに貴方を見守る力。 冷たい空気をまといながら。 日の明かり。 密やかに貴方を見守る力。 暖かな空気で包みながら。 <<口付けと共に・・・    悲しみ    永遠の 刻 ( とき ) >>  

― 口付けと共に・・・ ―

触れる事さえ叶わぬ夢を 闇の中で見る。 落ち逝くことさえ叶わぬ夢を 時の中で見る。 微かに触れる気がするのは 幻だと知りながら。 <<「さよなら」とは言わない    悲しみ    あなたを守る力>>  

― 「さよなら」とは言わない ―

私は言わない。 別れの言葉は。 いつだって 相手のその言葉を聞いて 安心する。 私は言えない。 別れの言葉は。 いつだって 相手のその言葉を待って 安堵する。 傍にいて息苦しい。 傍にいて落ち着かない。 そんな場所だから。 <<傷心    ...

― 傷心 ―

傷つく事に慣れなくて 私は痛みを忘れる事にする。 傷つける事に慣れなくて 私は悲しみを忘れる事にする。 いつか、いえるだろう その傷跡。 <<堕ちた偶像    悲しみ    「さよなら」とは言わない>>  

― 堕ちた偶像 ―

神を崇めていました。 たった一人の神でした。 私にとって絶対でした。 神を 奉 ( たてまつ ) っていました。 たった一つの神でした。 私にとって全てでした。 砕けたのは、 私のものではなくなったから。 壊れたのは 堕ち行く君を止めなかったから。 ...

― 愛を下さい ―

くれませんか? あなたの心をくれませんか? くれませんか? あなたの体をくれませんか? 私のものにしたいと言う欲求 私だけのものにしたいと言う それが愛ですか? <<飢え    悲しみ    堕ちた偶像>>  

― 飢え ―

欲しくて 欲しくて 乾きに似た欲求が おさまらない 望んで 望んで 餓えに似た欲望が 押さえ切れない そうして欲しいものも望むものも 何なのかは判らない <<もっと・・・    悲しみ    愛を下さい>>  

― もっと・・・ ―

もっとちょうだい。 ねだったものは ぬいぐるみ もっとちょうだい。 せがったものは ぺんだんと もっと……もっと…… お金があれば 全てが手に入るかしら <<汚れたモノ    悲しみ    飢え>>  

― 汚れたモノ ―

穢れたのは、この 身体 ( からだ ) 。 子供のままではいられない 真紅の 躯 ( からだ ) 。 穢れたのは、この 精神 ( こころ ) 。 子供のままではいられない。 漆黒の 心 ( こころ ) 。 汚れきったこの手に 何が残りますか? <<...

― それだけで・・・ ―

それだけで許せたら どんなに楽だろう 「ごめんなさい」の一言さえも 許せない それだけで愛せたら どんなに楽だろう 「愛してる」の一言さえも 信じられない たった一言 それさえも通じない <<嘘だと言って    悲しみ    汚れたモノ>>  

― 嘘だと言って ―

裏切るなら 上手に嘘をついてください。 決して見破られないように 見捨てるなら 上手に縁を切ってください。 決して恨まれないように 騙すなら 上手に言葉を選んでください。 決して判ってしまわないように でも本当は全て嘘だと言って欲しい <<...

― もう一度だけでも ―

もう一度だけでも 繰り返せたなら 同じ過ちは犯さない もう一度だけでも やり直せたなら 同じ道は歩まない 本当は やり直しても 振り返っても 遅いのかもしれない <<絶望の足音    悲しみ    嘘だと言って>>  

― 絶望の足音 ―

近づく足音 だんだんと 大きく響き 襲ってくる 遠くの足音 恐々と 両手を広げて 捕らえに来る 幸せ忘れて 浸れたなら 今この瞬間に 絶望へ <<切ないから    悲しみ    もう一度だけでも>>  

― 切ないから ―

切なくて 切なくて 何もかも捨て去れたなら 忘れる事もできるでしょう 切なくて 切なくて 何もかも置き去りにできたら 消し去る事もできるでしょう 何処へ行けば どうすれば この気持ちを壊せますか? <<思いの向こう側    悲しみ    絶望の足音...