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― 少女の問い ―

2023/09/03

13:少女の問い

文字数:約434文字
 それは常に隣にある。
 生きるという事は― どういう事?

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「生きているって何?」
 不意にその子は聞いた。
 ひざを抱えたままソファーに座って、言葉を続ける。
「死にたいって生きているから言える事よね」
 テレビからはいじめの被害者のインタビューが聞こえる。
「おまえはまた、おかしなことを言う」
 俺はコーヒーを入れながらそちらのほうをちらりと見る。
 あいかわらず、テレビに見入ったままその子は言う。
「そう?だって、おかしいじゃない。
 死にたいって言ってるのなら死ねばいいのよ。
 それを戸惑うって事は生きたいって事じゃないの?」
「確かにね」
 微かな苦笑いがもれる。
「私は死にたいと言う事も生きたいという事も分からない」
 呟くように言って顔をひざにうずめた。
 俺はそいつの頭をポンと撫でて言う。
「今、ここにいる事が生きているということだ。
 死とは全てから消え去る事。
 ま、人によって答えは違うがな」
「そう…」
 熱いコーヒーを一口飲み、彼女は黙った。




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