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― 天空少女たちのバレンタイン ―

2023/09/03

15:天空少女たちのバレンタイン

文字数:約811文字
 甘い砂糖菓子。
 たまには少し― 息抜きに?

――――――――――――†――――――――――――

「何?」
 差し出されたそれを見て私はきょとんと聞き返した。
「チョコレート。頑張って作ってみました♪」
 満面に笑みを浮かべてルウナが答える。
「そーじゃなくて。何で私に?」
「大丈夫。セイアにもあげるけど、本命はカエラだから☆」
「……男にあげる物じゃなかった?」
 話のかみ合わない事に頭痛を感じる。
 ルウナの目が真剣そのものって事にも……
「えーだって、そこら辺の男よりカエラの方が素敵だよ~
 勉強もスポーツも誰にも負けてないじゃない」
「ありがたく貰った方がいいですよ」
 隣から聞いていたらしいセイアが口を挟む。
「たまには本を閉じて息抜きも必要ですし」
「セイアにもハイこれ。で、これが私の分~」
 微笑みながら受け取るセイアに子供のように笑うルウナ。
「たまにはね」
 それを見つめつつ、パタンと本を閉じる。
「お天気もいいから、お庭でお茶にしよ♪」
 一人で先に行ってしまったルウナを追い、立ち上がる。

「かわいいですね」
「?」
 振り返った先に、チョコレートの小箱を持ったセイアがいる。
「ほら、可愛らしい綺麗なラッピング。
 カエラさん気づきました?ルウナさんの手が荒れてる事」
 チラリとセイアが私を見据える。
「え?」
「一生懸命作ったと思いますよ」
 それだけ言って傍を通り過ぎて行った。

 庭に出るとルウナが膨れっ面で待っていた。
「おっそーい」
「ごめんって。それと、ありがと」
 後半は小さな声でそっとルウナの耳元で言ってみる。
「うん」
 少し驚いた顔をして、それからすぐにニッコリと笑った。
「早く行こ!」
 ルウナの手に引っ張られて着いた先にあったのは―

「何よ。これ」

「えへへ。ちょっと失敗しちゃって、
 捨てるのもったいないし食べようよ☆」

 どっさりと山盛りになったチョコレート失敗作だった。
「こんな息抜きもいいんじゃないですか?」
 そう言ったセイアの笑顔が引きつっていた。




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