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― 2つの死体※ ―

2022/05/12
※微グロ注意
文字数:717文字

26【2つの死体】

夢を見た。

家の中、昔の私のベットが傍にある。
子供の死体が二つベットに置いてあった。
なぜ、ここにあるのだろうかと考えた。
祖父の死体処理の間に、代わりに持って来た死体だった事を思い出した。
祖父の死体処理が終わっても、返さなかったからここにある。

どうしよう……と父に相談すると「お前のせいだろ。自分でどうにかしろ」と言われた。
母が死体処理業者に電話して、引き取りに来てもらう事になった。

ベットがある2階はそっとしておく事にした。
けれども、2階に何かを忘れて取りに行く。
と、死体の子供がムクリと起き上がった。
続いてもう一体も。
ゾンビ映画によくあるような、カクカクとした動きだった。
やがて口元が開いて、何かを喋り出したが、何を言ってるのか分からない。
もごもごと口が上手く動いていないからだった。

そうこうしているうちに、子供たちの動きが滑らかになって行く。
言葉もはっきりとわかるようになったけれども、なぜか言葉の意味が分からなかった。
二人で遊ぶようなしぐさをし、飛び跳ね始めた。
肌の色が良ければ、普通の子供たちと一緒だ。

やがてチャイムがなって、引き取り業者が来た。
母が玄関に出て、私が子供たちを1階へと追いやる。
子供たちはトントンと階段を降りていく。

「この子達ですね」と業者さんが子供たちを抱える。
母が「この子達の名前は××と××と言うんです」と業者に伝えた。
私はそれまで、その死体たちの名前は知らなかったし、『死体』でいいと思っていた。
けれど、母はその子達を「人間として扱ってほしい」と言った。
名前を知って彼らは人間なんだと、実感した。

業者が二人を引き取って行く。
子供たちは業者の車の中で、また死体に戻るんだろうな。

と思った辺りで、目が覚めた。




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