「星達の集う時間」
【崩壊・光】~遠い光の日々~
透 001「闇も光も同じもの、なのに全く違うもの。
貴夜、君が光で 僕が闇。
そう思ってしまうのは
忌まわしい思い出の所為だとわかっている。
それでも、遠い記憶の片隅にあるのは―」
――夢
父 002「すまない……」
母 003「ごめんなさい。透」 (泣きながら)
透:子供 004『どうして―』 (僕を置いて言ったの?」悲しみ)
――研究所の遊戯室。
闘華 005「……と…る。透ってば!」 (透を揺り起こす)
(椅子が軋む音)
鬼炎 006「悪夢でも見たのか?うなされていた」
透 007「あ、いや。別になんでもない」 (息を整えながら)
氷霊 008「透ってば働きすぎなんだよ~」
鬼炎 009「そう思うなら、膝に飛び乗るな。透をちょっとは休ませてやったらどうだ?」
氷霊 010「あわわっ。なにすんの~ 首、掴まないでよ~~放してよ~」 (……暴れる)
鬼炎 011「だいたいな。透が来る度遊んでってねだってるの誰だ」
氷霊 012「だって、つまらないんだよ~?」 (駄々をこねる)
鬼炎 013「だからってな」
闘華 014「二人ともうるさい」 (黙って聞いていたが、うるさくて止める)
透 015「心配してくれてありがとう。でも、僕は大丈夫だから。じゃ、仕事に戻るから」(にこやかに部屋を出る?)
扉の閉まる音。電子音?
鬼炎 016「大丈夫なのか?あれで?」
闘華 017「さあ?大丈夫って言うなら、大丈夫じゃないの?」
氷霊 018「えー。なんかさぁ。お疲れって感じだよ?」
鬼炎 019「最近、研究所内がぴりぴりしてるせいかな」
――廊下すれ違いざま。
(ゆっくりと足音2つ)
航 020「透、実験体はどうだい?」 (いやみ)
透 021「順調だよ。別に異常はない」
航 022「順調……ね」 (意味ありげ?)
透 023「何がいいたい?航」 (少々不機嫌)
航 024「別に……ただ実験体と親密すぎないかと、他の奴らが言ってたのさ」
透 025「……そうかもね」
航 026「お仲間同士って訳か。お前も同じ実験体に過ぎないしな」 (蔑みの視線)
透 027「……そうかもね」
航 028「俺としては気に入らないんだがな。お前のような、失敗作が研究員としているなんて」
透 029「今更だろう……文句があるなら、リースにでも言ったらどうだ」
航 030「そうだな。 (思い出したように) あ。そういえば、リースが呼んでいたよ」
――リースの部屋
(ノックの効果音)
リース 031「どうぞ」(軽く)
透 032「失礼します」 (ため息1つはいて入室)
(ドア開き音)
リース 033「あら。いらっしゃい、透。どうかして?」 (からかい気味)
透 034「……。用件が無いなら失礼します」 (しらけ気味)
リース 035「待ってよ。本当にせっかちねぇ」
透 036「貴女の様な暇は無いですから」 (嫌味少々でも、にっこりと)
リース 037「用件は簡潔よ。しばらく、高等部の先生をしてきてくれるわよね」
透 038「……また、余計な仕事を持って来てくれますね」
リース 039「ふふっ。しょうがないじゃない。困ってる人を見捨てられないんだもの。
友達が困ってるの、誰でもいいからって……」 (悪戯を思いついた子供のように)
透 040「ストップ。もういいです。困った人は貴女ですよ。
職権乱用して、僕をこき使うんですから」 (引きつり笑い)
リース 041「いいでしょ?私は上司でありパトロンですもの。両親のいないあなたの面倒を見たのは、私よ」
透 042「そうですね。判りました。では」
リース 043「あ、そうそう。特別推薦の話考えといてね。貴方の出世は私の出世なのよ」 (当然と言う様に)
透 044「……判りました」 (……乗り気でない)
(出て行くドアの音。)
【運命・睡】 ~全てはまだ眠りの中~
―――教室
透 045「始めまして。臨時として来た、冠崎透(かんざきとおる)です」
ガヤ生徒 046-1「先生、年幾つ?」 046-2「彼女は?」 046-3「せんせー?授業は~?」
046-4 「授業はやめて、自習にしちゃおうよ」046-5「放課後、何処行く~?」046-6「えー。面倒」
―――――――――――――――――――――――――――(ガヤ。がや。思いつくまま)
透 047「……似てる―――――――」 (貴夜に気がつく)
生徒 048「聞こえてるの? センセ?せんせーってば!!」 (大声)
透 049「あ、はい。まずは出席です」 (……気がついたように)
透 050「…相沢さん、飯田さん、上野さん、丘さん。……」 (出席とり中?)
生徒 051-1「はい」 51-2「はい」 (ガヤさん??)
透 052「似てるだけか?それとも」 (名前呼んでいるのと重なるはず……?)
透 053「か、冠瀬…貴夜(かんぜきよ)さん……」 (引きつり、驚き)
貴夜 054「はい」 (貴夜の方は気がつきません。ただの返事です)
透 055「それが貴夜との再会だった」 (……淡々と)
――遊戯室。
(扉を開ける音。電子音かな)
氷霊 056「あ、わーい。透だ~」 (楽しそうに)
透 057「皆は?」 (あたりを見回しながら??)
氷霊 058「実験中だって。博士達が連れてった」
(ドサリと椅子に座る音)
透 059「そう」 (疲れたように)
氷霊 060「どしたの?」 (不思議そうな顔)
透 061「何が?」
氷霊 062「何か変」
透 063「そう?」
氷霊 064「何かあった?」
透 065「ちょっとね。貴夜に逢っただけ」 (ため息をついて、笑顔を作る)
透 066『逢いたかった。逢いたくなかった。どうして、あの時を<生きた>のだろう』
氷霊 067「と、透??抱きしめないでよぉ。氷霊はぬいぐるみじゃないよ!?」 (驚いた声)
透 068「生きるとは何だろう。ねえ、氷霊。どう思う?」 (問い)
氷霊 069「ふぇ?何?突然??」 (戸惑い)
透 070「……なんでもない」
沈黙。
氷霊 071「あのさ。よく解らないけど、今、こうして体温が感じる事だと思う」 (ぽつりと言う)
――部屋、明かりがついていて不思議に思う
(扉を開ける音)
透 072「……死神、来るのなら前もって知らせて欲しいな」 (少々不機嫌に言い放つ)
占い師 073「ふふっ。不機嫌だね。『定め』が始まったから?」 (子悪魔の笑み)
透 074「『定め』か。どうせ、君には先が見えてるんだろう?」 (嫌味っぽく)
占い師 075「……さあね。まだ、変わるかもしれない。 (少々の間 肩をすくめて……急に話題換え)
あ、これ。何のスイッチ?」
(カチリと言う音)
占い師 076「わー。お部屋のプラネタリウムだ」 (楽しそう)
……間
透 077「無意味な星屑だ」 (空、天井を見ながら)
占い師 078「そうと知っていて、欲するのだろう?より強き力と体と知恵を」
透 079「それを欲しているのは研究所……いや、人間だよ」
占い師 080「透も人だよ」
透 081「そうかな」
占い師 082「貴夜は、変わらなかった。透は変わらず、貴夜が大切。
『定め』は出会いから始まる。だけど、決めるのは透だよ」 (ずっと、遠くを死神は見つめている)
透 083「未来はいつだって、死神の予測可能領域にある……だろ?」 (皮肉)
【運命・心】 ~全てはこの心の赴く先~
――――廊下?
航 084「で、学校はどうだった?」 (嫌味)
透 085「航、何がいいたい?用件だけ、簡潔に聞かせてもらいたいね」 (不機嫌を押し隠して)
航 086「そう急かすな。ゆっくり話し合おうじゃないか」
紙の音。封筒を取り出す。
透 087「データフィルム?……ゆっくりね。随分、昔の事まで掘り出してきたんだな」 (不機嫌)
航 088「どうしても、欲しいものがあったんでね。最初は偶然に知っただけだ。貴夜がお前の……」
透 089「用件は?」 (言葉を遮る)
航 090「……簡潔だよ。推薦を蹴って欲しい。そうすれば、全ての資料はお前にやる」
透 091「ああ、特進への推薦なんてものがあったっけ。でも、僕が蹴っても君に決まるとは限らないよ」
航 092「お前がいなければ、ほぼ確実に俺になる」 (自信満々)
透 093「たいした自信だね。……考えてみるよ」
足音
――――学校。
チャイムの音。鉛筆の音?ドア開く音。
貴夜 095「冠崎先生。クラスのノート集めてきました」
透 096「ああ、そこに置いて」
貴夜 097「はい」
透 098「ありがとう」
貴夜 099「星座の本?好きなの?」
透 100「別にただ興味があるだけだよ」
貴夜 101「……私は星、好きですよ。だって、ドームの向こうにはたくさんの星があるんでしょ?
見てみたいな」 (夢見る感じで)
透 102「プラネタリウムで見られるよ」
貴夜 103「そうじゃなくて、本当の星を見てみたい」
透 104『僕らの住まうドームの外がどんな世界なのか。どうして僕らがここにいるのか。
貴夜は何も知らないまま、信じてる― 星が空には輝いているのだと』
――――遊戯室。
扉の開く音。
氷霊 105「とーおるぅ。難しい顔して何やってんの?」
透 106「別に」 (笑いながら)
氷霊 107「何?このノート」 (何がなんだか解らない感じで)
鬼炎 108「どれ?」
闘華 109「星。天体よね?」
鬼炎 110「それも、かなり昔じゃないか?」 (確かめるように聞く)
透 111「うん。そうだよ」
鬼炎 112「研究対象なのか?」
透 113「…そうじゃないよ。貴夜が星の事を言っていたから、調べてみようかと」
氷霊 114「貴夜ってこの間の……」
透 115「そうだよ」
闘華 116「誰?それ??」 (
透 117「……さあね」 (答える気なし)
―――夢
透の母 118「ごめんなさい、透」
透:子供 119『待って―――― ママ、パパ……き…』
―――目覚め。
透 120『……夢?今更、顔さえ思い出せない者達の夢を見るなんて―
待っていたのに。信じて―――今でも信じられたなら』
※無断使用禁止※
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