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― SEVEN~7~ ボイスドラマ台本1 ―

2023/09/02

「星達の集う時間」


【崩壊・光】~遠い光の日々~

透   001「闇も光も同じもの、なのに全く違うもの。

     貴夜、君が光で 僕が闇。
     そう思ってしまうのは
     忌まわしい思い出の所為だとわかっている。

     それでも、遠い記憶の片隅にあるのは―」



――夢
父    002「すまない……」
母    003「ごめんなさい。透」 (泣きながら)
透:子供 004『どうして―』     (僕を置いて言ったの?」悲しみ)

――研究所の遊戯室。
闘華   005「……と…る。透ってば!」        (透を揺り起こす)
 (椅子が軋む音)
鬼炎   006「悪夢でも見たのか?うなされていた」
透     007「あ、いや。別になんでもない」     (息を整えながら)
氷霊   008「透ってば働きすぎなんだよ~」
鬼炎   009「そう思うなら、膝に飛び乗るな。透をちょっとは休ませてやったらどうだ?」
氷霊   010「あわわっ。なにすんの~ 首、掴まないでよ~~放してよ~」     (……暴れる)
鬼炎   011「だいたいな。透が来る度遊んでってねだってるの誰だ」
氷霊   012「だって、つまらないんだよ~?」     (駄々をこねる)
鬼炎   013「だからってな」
闘華   014「二人ともうるさい」    (黙って聞いていたが、うるさくて止める)
透     015「心配してくれてありがとう。でも、僕は大丈夫だから。じゃ、仕事に戻るから」(にこやかに部屋を出る?)
扉の閉まる音。電子音?

鬼炎   016「大丈夫なのか?あれで?」
闘華   017「さあ?大丈夫って言うなら、大丈夫じゃないの?」 
氷霊   018「えー。なんかさぁ。お疲れって感じだよ?」 
鬼炎   019「最近、研究所内がぴりぴりしてるせいかな」

――廊下すれ違いざま。
      (ゆっくりと足音2つ)
航    020「透、実験体はどうだい?」  (いやみ)
透    021「順調だよ。別に異常はない」
航    022「順調……ね」           (意味ありげ?)
透    023「何がいいたい?航」   (少々不機嫌)
航    024「別に……ただ実験体と親密すぎないかと、他の奴らが言ってたのさ」
透    025「……そうかもね」
航    026「お仲間同士って訳か。お前も同じ実験体に過ぎないしな」 (蔑みの視線)
透    027「……そうかもね」
航    028「俺としては気に入らないんだがな。お前のような、失敗作が研究員としているなんて」
透    029「今更だろう……文句があるなら、リースにでも言ったらどうだ」           
航    030「そうだな。 (思い出したように) あ。そういえば、リースが呼んでいたよ」   

――リースの部屋
(ノックの効果音)
リース  031「どうぞ」(軽く)
透    032「失礼します」 (ため息1つはいて入室)
 (ドア開き音)
リース  033「あら。いらっしゃい、透。どうかして?」 (からかい気味)
透    034「……。用件が無いなら失礼します」   (しらけ気味)
リース  035「待ってよ。本当にせっかちねぇ」 
透    036「貴女の様な暇は無いですから」     (嫌味少々でも、にっこりと)
リース  037「用件は簡潔よ。しばらく、高等部の先生をしてきてくれるわよね」
透    038「……また、余計な仕事を持って来てくれますね」
リース  039「ふふっ。しょうがないじゃない。困ってる人を見捨てられないんだもの。
        友達が困ってるの、誰でもいいからって……」   (悪戯を思いついた子供のように)
透    040「ストップ。もういいです。困った人は貴女ですよ。
        職権乱用して、僕をこき使うんですから」     (引きつり笑い)
リース  041「いいでしょ?私は上司でありパトロンですもの。両親のいないあなたの面倒を見たのは、私よ」
透    042「そうですね。判りました。では」
リース  043「あ、そうそう。特別推薦の話考えといてね。貴方の出世は私の出世なのよ」 (当然と言う様に)
透    044「……判りました」    (……乗り気でない)
   (出て行くドアの音。)


【運命・睡】 ~全てはまだ眠りの中~

―――教室
透    045「始めまして。臨時として来た、冠崎透(かんざきとおる)です」
ガヤ生徒 046-1「先生、年幾つ?」  046-2「彼女は?」  046-3「せんせー?授業は~?」
046-4 「授業はやめて、自習にしちゃおうよ」046-5「放課後、何処行く~?」046-6「えー。面倒」            
―――――――――――――――――――――――――――(ガヤ。がや。思いつくまま)
透    047「……似てる―――――――」       (貴夜に気がつく)
生徒   048「聞こえてるの? センセ?せんせーってば!!」        (大声)
透    049「あ、はい。まずは出席です」    (……気がついたように)
透    050「…相沢さん、飯田さん、上野さん、丘さん。……」    (出席とり中?)
生徒   051-1「はい」  51-2「はい」        (ガヤさん??)    
透    052「似てるだけか?それとも」      (名前呼んでいるのと重なるはず……?)
透    053「か、冠瀬…貴夜(かんぜきよ)さん……」 (引きつり、驚き)
貴夜   054「はい」                  (貴夜の方は気がつきません。ただの返事です)

透    055「それが貴夜との再会だった」     (……淡々と)





――遊戯室。
(扉を開ける音。電子音かな)
氷霊   056「あ、わーい。透だ~」    (楽しそうに)
透    057「皆は?」           (あたりを見回しながら??)
氷霊   058「実験中だって。博士達が連れてった」
  (ドサリと椅子に座る音)
透    059「そう」           (疲れたように)
氷霊   060「どしたの?」      (不思議そうな顔)
透    061「何が?」         
氷霊   062「何か変」
透    063「そう?」       
氷霊   064「何かあった?」
透    065「ちょっとね。貴夜に逢っただけ」    (ため息をついて、笑顔を作る)
透    066『逢いたかった。逢いたくなかった。どうして、あの時を<生きた>のだろう』 
氷霊   067「と、透??抱きしめないでよぉ。氷霊はぬいぐるみじゃないよ!?」       (驚いた声)
透    068「生きるとは何だろう。ねえ、氷霊。どう思う?」   (問い)
氷霊   069「ふぇ?何?突然??」                 (戸惑い)
透    070「……なんでもない」
        沈黙。
氷霊   071「あのさ。よく解らないけど、今、こうして体温が感じる事だと思う」  (ぽつりと言う)




――部屋、明かりがついていて不思議に思う
   (扉を開ける音)
透    072「……死神、来るのなら前もって知らせて欲しいな」    (少々不機嫌に言い放つ)
占い師 073「ふふっ。不機嫌だね。『定め』が始まったから?」    (子悪魔の笑み)
透    074「『定め』か。どうせ、君には先が見えてるんだろう?」  (嫌味っぽく)
占い師 075「……さあね。まだ、変わるかもしれない。  (少々の間  肩をすくめて……急に話題換え)
        あ、これ。何のスイッチ?」
         (カチリと言う音)
占い師  076「わー。お部屋のプラネタリウムだ」  (楽しそう)
       ……間
透    077「無意味な星屑だ」                            (空、天井を見ながら)
占い師  078「そうと知っていて、欲するのだろう?より強き力と体と知恵を」
透    079「それを欲しているのは研究所……いや、人間だよ」
占い師  080「透も人だよ」 
透    081「そうかな」
占い師  082「貴夜は、変わらなかった。透は変わらず、貴夜が大切。
      『定め』は出会いから始まる。だけど、決めるのは透だよ」     (ずっと、遠くを死神は見つめている)
透    083「未来はいつだって、死神の予測可能領域にある……だろ?」 (皮肉)



【運命・心】 ~全てはこの心の赴く先~


――――廊下?

航   084「で、学校はどうだった?」      (嫌味)
透   085「航、何がいいたい?用件だけ、簡潔に聞かせてもらいたいね」  (不機嫌を押し隠して)
航   086「そう急かすな。ゆっくり話し合おうじゃないか」 
   紙の音。封筒を取り出す。
透   087「データフィルム?……ゆっくりね。随分、昔の事まで掘り出してきたんだな」      (不機嫌)
航   088「どうしても、欲しいものがあったんでね。最初は偶然に知っただけだ。貴夜がお前の……」 
透   089「用件は?」  (言葉を遮る)
航   090「……簡潔だよ。推薦を蹴って欲しい。そうすれば、全ての資料はお前にやる」
透   091「ああ、特進への推薦なんてものがあったっけ。でも、僕が蹴っても君に決まるとは限らないよ」
航   092「お前がいなければ、ほぼ確実に俺になる」   (自信満々)
透   093「たいした自信だね。……考えてみるよ」  

足音

――――学校。
チャイムの音。鉛筆の音?ドア開く音。
貴夜  095「冠崎先生。クラスのノート集めてきました」
透   096「ああ、そこに置いて」

貴夜   097「はい」 
透    098「ありがとう」
貴夜   099「星座の本?好きなの?」
透    100「別にただ興味があるだけだよ」
貴夜   101「……私は星、好きですよ。だって、ドームの向こうにはたくさんの星があるんでしょ?
        見てみたいな」   (夢見る感じで)
透    102「プラネタリウムで見られるよ」
貴夜   103「そうじゃなくて、本当の星を見てみたい」

透    104『僕らの住まうドームの外がどんな世界なのか。どうして僕らがここにいるのか。
      貴夜は何も知らないまま、信じてる― 星が空には輝いているのだと』   



――――遊戯室。
扉の開く音。
氷霊   105「とーおるぅ。難しい顔して何やってんの?」
透    106「別に」  (笑いながら)
氷霊   107「何?このノート」 (何がなんだか解らない感じで)
鬼炎   108「どれ?」
闘華   109「星。天体よね?」
鬼炎   110「それも、かなり昔じゃないか?」 (確かめるように聞く)
透    111「うん。そうだよ」
鬼炎   112「研究対象なのか?」
透    113「…そうじゃないよ。貴夜が星の事を言っていたから、調べてみようかと」
氷霊   114「貴夜ってこの間の……」
透    115「そうだよ」
闘華   116「誰?それ??」    (いぶかしげ)
透    117「……さあね」        (答える気なし)


―――夢
透の母  118「ごめんなさい、透」
透:子供 119『待って―――― ママ、パパ……き…』

―――目覚め。
透    120『……夢?今更、顔さえ思い出せない者達の夢を見るなんて―
       待っていたのに。信じて―――今でも信じられたなら』





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