文字数:461文字
5【プレゼント】
クリスマスにはプレゼントを貰うんだ。僕はそれを楽しみにしていた。
本当に楽しみにしていたんだ。
テストでの点数が下がった。
「何でこれくらい分からないの。いい子にしないとサンタさんは来ないわよ。
次はしっかりと良い点を取って」
ママは僕に真っ赤な爪先を向けて言った。
僕はテストで良い点を取った。
「何でお片付けをしてないの。いい子にしないとサンタさんは来ないわよ。
何度も言わせないで」
ママは僕に真っ赤な口で言った。
僕はお片付けをした。
「妹の面倒をちゃんと見てって言ったでしょ。いい子にしてないとサンタさんは来ないわよ。
あなたが頼りなんだからしっかりしてよ」
ママはつり上がった目で言った。
僕は妹の勉強をみた。
「いい子にしていてね。
そうしたら、サンタさんが来るから」
ママはそう繰り返した。
そして、クリスマスの日……。
新しいパパがプレゼントを持ってきた。
僕はそれを「ありがとう」と受け取る。
箱の中身は流行のゲームだった。
「嬉しい。僕欲しかったんだ」
にっこり笑う僕を見て、ママは
「ほらね。いい子にしていたからサンタさんが来たでしょ」
と言った。
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