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6【ロッカーの箱】
夢を見た。そこは工場の中だった。
金色のリングを作っていた。
数人の従業員とたくさんの機械。
私もその中で働いていた。
ふと、辞めようと思った。
辞めて新しい仕事があっさりと決まった。
次の仕事も工場。
その仕事もしばらくして、辞めようか迷った。
コーディネーターが「どうするの?」と聞く。
「考え中」と私は答える。
そんな中で、元の工場から「まだ、あなたの荷物が残っているから取りに来て」と連絡があった。
私はリングの工場に行った。
いつもの従業員がいつもの仕事をやっている。
窓の光が入ってきて、リングがキラキラ輝いていた。
私に気が付いた同僚が、話しかけてくる。
何気ない話の中で「仕事を辞めようと思っている」という事も伝えた。
「ここに、戻ってきたら?」
とても意外な言葉だった。
ああ。そんな選択肢もあるんだと思った。
今の仕事に不満はない。
リングの仕事も不満はなかった。
けれど、辞めてしまった。戻ってもいいのかもしれないと心が揺れた。
仕事に戻った同僚を見ながら、工場を見渡す。
ここで働いてもいいのかもしれないと考える。
そこに、一人の女性がやってきた。いつも親切だった先輩だ。
「あなたのロッカーの荷物、箱にまとめておいたから」
そう言われて、荷物を取に来たことを思い出した。
ロッカーは一つで二人が使っていた。
私と先輩とで使っていたのだ。
私の荷物が残っているという事は、新しい人は来ていないのかもしれないと思った。
ロッカーを開けると、箱が入っていた。大きなミカン箱一つ。靴箱くらいの箱が数個。
私の荷物はミカン箱に入って、ロッカーの大半を占領していた。
靴箱は新しく着た人達が残していったものかもしれないと思った。
「早く持って行ってね」
先輩が箱の脇の小さなスペースから自分の荷物を引っ張り出す。
それを見て、私は新しい仕事をしようと思った。
リングの仕事も今の工場も私の仕事ではない。
もっと別の新しい事をしよう。
そう思った辺りで目が覚めた。
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