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― 書く場所 ―

2022/05/12
文字数:643文字

7【書く場所】

夢を見た。
気が付くと学校に居た。
周りにはパラパラと人がいる。
思い思いに雑談にふけっていた。

人が入ってきて、皆が席に着く。
私も適当な席に座った。
人が少ないから、空いている席も多い。
話を聞いていると、小説講座をしているらしい。
物語の書き方、キャラクターとはみたいな話が出てくる。
まずはキャラクターの課題が出た。
よく判らなかったけれど、キャラクターのようなものを作ってみる。
性格や性別。特技、口癖、職業etc.思いつくままに書いてみた。
ダメだなと自分でも思った。
何がダメなのか自分でも判っている。このキャラクターを動かす物語世界が浮かばない。

そのまま、提出してみる。
思った通りのダメ出しが来る。
「こんなのは使えない。誰にでも作れる」
判っていても凹む。でも、私が出せるのはこの程度だ。
自分の番が終わった後も他の人の批評が耳に入ってくる。
「書いて、見てもらって、書き直す。そうやって、いいものが出来るんだ」
そんな言葉が聞こえてくる。
ああそうだなと思う自分と、それが出来たら苦労しないと思う自分が、私の中でザラザラと滑り落ちて行く。


また、課題らしきものが出た。物語のプロットを書くらしい。
皆が好きな場所で好きなように書きだした。
お喋りしながら自分の世界を固めている人もいる。
席に座って書こうとしたけれど、声が気になって書けない。

別の場所を探して教室を出る。
人はそんなに多くはない。
けれど、どこへ行っても人が気になって書けない。
結局、教室に戻ってきた。

書く場所がない……


と、思いながら目が覚めた。




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