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11【かくれんぼの館】
夢を見た。長い通路が目の前に続いていた。
壁の両方に部屋が沢山ある。
どの部屋も扉が開いて、中が見えていた。
「次はあなたの番よ」
唐突に声がした。
振り返ると知らない子が、私に笑いかけていた。
きょとんと私はその場に立ち尽くす。
「あなたの番よ」
声が繰り返す。
「何が?」と聞こうとして、かくれんぼをしていた事を思い出した。
私は頷く。
「いーち、にー、さーん」
壁の方を向いて数を数える。
パタパタと足音が遠ざかっていった。
「……じゅーう、もーいーかい」
「「もーいいよ」」
沢山の声が響いた。
私は駆けだす。あの子だけではない。たくさんの子がここに隠れているんだと知っていた。
一人見つける度に「みつかったぁ」と楽しそうな声が響き渡る。
一つ一つの部屋は広くて、たいして物が置いてない。
窓は大きくて、光が溢れんばかりに部屋に注ぎ込まれている。
机の下。
暖炉の中。
カーテンの裏。
戸棚の横。
扉の裏。
時には私の死角を狙って隠れている子もいた。
どこまで探しても部屋は尽きない。
どれだけさがしても、隠れてる子は居なくなら無い。
段々、楽しくなってきた。
この状況が何なのか分からない。
見つけた子供たちと、何かを探してることが楽しくなってきた。
「遅れるよ!」
唐突に現実の声が響いて、夢が消え去った。
笑い声も部屋の光も暖炉も消えて、天井が目の前にある。
変わった夢を見たと思った。
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