文字数:約506文字
13【死神と女の子】
夢を見た。一本の縄がわっかになって、垂らされていた。
意味が分からなかったが、やがてやせ衰えた男がその縄に首を通した。
それを見ながらぼんやりと
『人は輪っかがあると首を通したくなる』とどこかで聞いたことがあるなと思った。
そして、垂れ下がった男の後ろに白い着物の老人が現れた。
死神みたいだと思った。
老人は男を連れて消えた。
再び現れた老人は、輪っかの縄を垂らす。
次は私がその輪に首を通すのだと思った。
が、どこからともなくにぎやかな声と共に女の子がやってきた。
女の子は輪っかの縄をブランコ代わりにしたり、よじ登ったりと遊びだす。
縄がちぎれ、新しい縄が出てくる。
そのたびに女の子は新しい遊び方で、縄と戯れる。
何度目かの縄が出てきた。
老人は疲れてきているようで、これでダメなら諦めようと言った感じが漂ってきていた。
女の子の方は飽きてきている。
垂らされた縄を前に、ぷいっとどこかへ行ってしまった。
ああ。私の首を通す時なのかなと思った時
誰かが私の名前を読んだ。
目が覚めた。
夢の中の女の子が私の名前を呼んでいる。
縄はどこにもなかった。
「おでかけするよー。起きて――」
女の子は遠慮なく私の頭を叩いた。
「痛い……起きてるよ」
私は答える。
<<前へ 時 次へ>>