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― 美と醜 ―

2022/05/12
文字数:約324文字

15【美と醜】

夢を見た。
目の前に居るのは、美しい女性。
「美しいでしょ」

彼女は繰り返す。
様々な化粧品や手術でどんどん美しくなって行く。
一方わたしは醜く老いていく。

彼女がいつものようにわたしにいう。
「美しいでしょ」
そこには醜く肌がデコぼこして、毛も抜けている彼女が居た。

私は黙って頷く。
彼女は、叫ぶ。

「違う。これは私じゃない。あなたなの」

私は鏡を覗き込んでるようだった。
私とは全く違う姿の女性が映し出されている鏡を。

私は首をかしげる。
確かに私は鏡の前に居る。
けれど、鏡の中の彼女を私だと思った事はない。
あまりにも違いすぎるからだ。
美しすぎる姿も醜い姿も。

私は鏡の前から移動する。
彼女は鏡の前に居座り続ける。
そして、

「これは、私じゃない」

と訴え続ける。



という夢を見た。




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