文字数:約324文字
15【美と醜】
夢を見た。目の前に居るのは、美しい女性。
「美しいでしょ」
彼女は繰り返す。
様々な化粧品や手術でどんどん美しくなって行く。
一方わたしは醜く老いていく。
彼女がいつものようにわたしにいう。
「美しいでしょ」
そこには醜く肌がデコぼこして、毛も抜けている彼女が居た。
私は黙って頷く。
彼女は、叫ぶ。
「違う。これは私じゃない。あなたなの」
私は鏡を覗き込んでるようだった。
私とは全く違う姿の女性が映し出されている鏡を。
私は首をかしげる。
確かに私は鏡の前に居る。
けれど、鏡の中の彼女を私だと思った事はない。
あまりにも違いすぎるからだ。
美しすぎる姿も醜い姿も。
私は鏡の前から移動する。
彼女は鏡の前に居座り続ける。
そして、
「これは、私じゃない」
と訴え続ける。
という夢を見た。
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