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17【旅行と朱色の鳥居】
夢を見た。どこかに旅行に来ていた。
建物の中にテーマパークのようなものがあった。
一通り見終わって出入り口に行くと、
「集まって、次の場所に行くよ」
という集合の声が聞こえた。
建物の中では一人で行動していた。
けれども、そう言えば団体で来たのだと思いだした。
「行こう」
と誰かが私を先へと押し出す。
「用事があるから、そこに寄る。後から追いつくから」
と返していた。
私は唐突に用事を思い出していた。
それは、「火葬しなければいけない」という用事だった。
大切な人に頼まれていたのだ。
「私が死んだら、あなたが燃やして」と。
私は大切な人が入った箱を手にしていた。
みかんの段ボールくらいの大きさだった。
素材は黒い石だった。まるで墓石のようにつやもある。
けれども、重さはあまり感じない。
黒い石の箱を持って、人混みの中を進む。
目の前に鳥居が現れて、私はそれを潜った。
その先に寺のようなものが見えた。
入ってみると、お堂が広がっていた。
中にも沢山の人がいた。
色んな箱を持っている。
奥の方にロッカーのようなものがあるのが見えた。
その前で職員らしき人が、箱を受け取ってロッカーに入れて扉を閉めている。
私はそこで、火葬が行われていると思った。
なので、私も箱を職員に渡した。
箱には一枚の紙が張り付いていた。
それを確認した職員は一瞬、迷った顔をした後に箱を受け取った。
隣の職員が「いいのか?」と聞いているのが聞こえた。
箱を受け取った職員は、「いいんだ」と言った。
私も一瞬箱を渡していいのか迷った。
何故なら紙には日付が書かれていて、それはもう少し先だったからだ。
ここに来ている人達は、今日の日付が書かれた箱を持っている。
今日が予約日だからここにいる。
なのに、私の箱の日付は今日ではない。
それに気がついた他の数人が、こちらをにらむように見ている事にも気がついた。
今日がこんなに混んでいなければ、そんな風にいわれる事もない。
けれども、今日、ここはなぜかこんなにも混んでいる。
居心地の悪さを感じつつも私は、『でも、私も以前から予約してるんだし』と思う事にした。
そして、大切な人が白い骨になる事を想像した。
その骨を黒い石の箱に収める事を想像した。
想像しながら、なぜあの人は私にそんな事を頼んだのだろう?と思った。
そんな事を考えていると目が覚めた。
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