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― 脱線列車 ―

2022/05/12
文字数:約844文字

19【脱線列車】

夢を見た。
道を歩いていると、車に無理やり乗せられた。
そこには私の他にも数人、連れ去られたらしい人達が居た。
窓の外を見ると、真っすぐな道を走っている。

線路が前に見えた。
さらによく見ると、線路の傍に人がいた。
車は人を撥ね飛ばして、走っていった。
「止めて」
ひかれしまった人が気になって、車から降りようとしてみた。
車はそこまで速くはない。
飛び降りても大丈夫そうな気がして、ドアを開けてみる。
けれど、やはり飛び降りるのは躊躇する。
他の人達が、運転していた人を羽交い絞めにして、車が止まった。
私は慌てて、今来た道を戻った。
さっきのひかれた人の元へと戻るために。
けれど、線路に人は居なかった。
真っすぐに来た道。

あたりは田んぼしかないのだから、道を間違うはずがない。
見回しても線路はここしかない。
もしかしたらまだ先に、線路があるのかもしれない。
と、歩きだそうとした時、電車がやってきた。
踏切で待っていると、電車が脱線して向かってきた。
みんなで逃げ出した。

電車がなぜ脱線したのかが知りたくて、駅へと向かった。
大きな駅だった。
列車が何本も入ってくる。
脱線したことを説明していると、駅に列車が入ってきた。
その列車も脱線して、傾いた車両のまま駅へと向かってきた。
その先には一人、レールを見ていた女の人がいた。
その人は慌てて、こちらへと走り出してくる。
私はその女の人に手を伸ばして、引っ張った。
列車は先ほどまで女性が居た場所に突っ込んできた。
次の列車も同じく脱線して突っ込んでくる。
いくつかの列車が同じように脱線した。

脱線の理由は三つあった。
一つは貨物として載せた木材の積みすぎ。
もう一つは、その木材はとうに処分すべきものだったけれども、処分されずに使いまわされていた。
最後に処分されなかった事で、古木が若木を食べて重くなったという事。


という事が判った辺りで目が覚めた。
……三つ目がよく判らない。
けれど、夢の中では『処分されなかった木材』は古くなって若い木材を食べて重くなる……みたいな話を納得しながら聞いていた。






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