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― 再会と退室 ―

2022/05/12
文字数:約541文字

27【再会と退室】

夢を見た。

女性が一人私の傍に居て、私の名前を呼ぶ。
同室の人だと私は思った。
私たちは同じ寮の部屋で暮らしていた。

「会いたい人だったんでしょ?」

と彼女が、私と誰かを引き合わせようとしていた。
その誰かとはぎこちない再会を果たした。
彼女が、私の背中を押す。
「ほら、言いたいことを言ったら?」
と、いうものの……言葉が見つからない。
相手もそうだったのだろう。ぎこちなく手を握り合ったまま固まる。

相手の方にも連れがいた。

彼女がその連れを連れて「後は二人で……」と私たちを置き去りにしていく。

沈黙が流れて一言、相手が言った。

「老けたね」
「お互いにでしょ」

私は思わずそう返していた。
それからショッピングモールのような場所を二人で歩き回った。
昔のようには戻れなかった。
「またね」というので、たぶん、またがあるんだろうと思った。

同室の彼女が戻ってきて、部屋に戻った。
部屋は何もない空間が半分以上を占めていた。残りに彼女と私のベットがある。

「みんな、先に行っちゃったみたい。私たちも行かなきゃ」

彼女がそう言う。
そこで私は、ここが5人部屋で3人が先に行ってしまった事を思い出していた。
彼女たちがいた場所には荷物どころかベットもない。
白い壁だけが残っていた。

部屋を出る準備をしようと思ったところで、目が覚めた。




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