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― 場所が分からない ―

2022/05/12
文字数:672文字

1【場所が分からない】

夢を見た。
星を見るイベントがあるらしい。
そのお知らせ掲示板を見ながら、夜までどこかで時間を潰さなければと思った。

思いついたのが学校だった。
授業の終わった学校で何かをしながら時間を潰す予定が、気が付くと机に突っ伏して眠っていた。
窓の外も教室も真っ暗で誰もいない。
もう、イベントの時間だろうと思って教室を出てエレベーターに向かった。
廊下も真っ暗で人っ子一人いない。
エレベーターは動いていたが、電気は足元をうっすらと照らすもののみだった。
下がっていくエレベーターに乗りながら、門が閉まっているのではないかと不安になった。

エレベーターの扉が開いた。
以外にもそこに人はいた。
学校だと思っていたのに、朝の駅のような感じの場所に出た。
そこにぽつぽつ人が歩いている。
あんなに暗かった外はうっすらと明るい。

時間を確認しなければと思うけれど、時間を確認するものが見当たらない。
時計も携帯もない。
ぼんやりと、これではイベントは終わっているかもしれないと思った。
駅のホームに立って、イベントの場所へ向かうか家に帰るか迷った。

迷いながら、家からの最寄り駅が思い出せない事に気が付いた。
イベントの最寄り駅は頭に入ってる。
この路線で合ってるはずだと考えるが、それも自信がない。
同時にここはどこだろうと思った。
この駅からイベント会場までの路線は分かっている。
が、ここがどの駅か分からない。
家までの帰り道も分からない。

……路線図を確認しなくては。
そう思いながらも、路線図は見当たらなかった。


ここがどこで、帰る場所はどこで、私はどこへ行きたいのか。


何もわからないまま夢から覚めた。




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