
― 星歌う地にて ―
38:星歌う地にて 文字数:約739文字 貴方だけに伝えたい。 待っていると― ずっと? ――――――――――――†―――――――――――― 星達が煌めく夜空。 私は視線を上へとあげた。 星の下には闇。真っ暗で巨大な山の影。 私は頂上に行かなければならない...
38:星歌う地にて 文字数:約739文字 貴方だけに伝えたい。 待っていると― ずっと? ――――――――――――†―――――――――――― 星達が煌めく夜空。 私は視線を上へとあげた。 星の下には闇。真っ暗で巨大な山の影。 私は頂上に行かなければならない...
37:空果てぬ地にて 文字数:約637文字 一人消え行き、想いが残る。 誰にも知られぬように― 何処へ行くの? ――――――――――――†―――――――――――― 夢見人は夢を見ない。 永遠の時を、先の見えぬ時間を― 見つめ続けるだけ。 人の思いは消えるこ...
36:花舞う地にて 文字数:約389文字 一人消え行き、花が咲く。 誰にも知られぬように― なぜ咲くの? ――――――――――――†―――――――――――― その手紙が届いたのは偶然。 波間に漂うビンの中に一通の手紙が入っていた。 中には 『いつか出会う...
35:神の降り立つ地にて 文字数:約890文字 誰も踏み入れてはならぬ地。 神話の伝わるその場所は― 何処なのでしょう? ――――――――――――†―――――――――――― その草原は人の立ち入らぬ場所。 昔からの言い伝えで神の降り立つ神聖な土地なのだと言う。...
34:水中日 文字数:約694文字 満たる人の愚かさ故に 地に未知たる夢― 陽に沈む? ――――――――――――†―――――――――――― 地に落ちたる優美。 死に逝く時を着飾るように…… 私達の世界がゆっくりと水面に飲み込まれて数日。 ついに逃げ場もなく...
33:紅薔薇の輝石 文字数:約472文字 小さな子供の瞳。 紅薔薇に惑わされて― 何見ゆる? ――――――――――――†―――――――――――― ナイテル…… 鳴いてる。 泣いてる。 声が聞こえる。 泣いてるのは、子供。 こんな森深くで? 「どうし...
32:ふたつの瞳 文字数:686文字 奇妙な世界とこちらの世界。 もう一つの瞳は― どこにいる? ――――――――――――†―――――――――――― 紅い瞳の女の子が僕を覗き込む。 僕そっくりの顔で笑いかける。 それは、とても奇妙な感覚で僕もつられて笑いかけ...
31:翼杖 文字数:約722文字 真白き翼の天の使い。 地に落ちたる者は― 何望む? ――――――――――――†―――――――――――― 翼を。 地に落ちたる天の使いに― 「ありがとう」 少女がニッコリと私に微笑む。 「また、お金落とさないようにしっ...
30:赤宝玉 文字数:956文字 赤い赤い炎晶玉。 それが映し出すものは― 何なのでしょう? ――――――――――――†―――――――――――― 「どういうこと?」 呆然とたたずむそこは、確かに私の里だった。 今あるのは、すすに塗れた残骸と乾いた風。 1年...
29:籠の鳥 文字数:475文字 幸せの鳥は籠の外。 いつか― 飛べますか? ――――――――――――†―――――――――――― 幸せの鳥は籠の外。 日々、私を見つめるだけの目はガラス球の様。 「歌って」 彼女は呟くように言う。 さらさらと流れる風に乗...
28:蒼き光 文字数:約836文字 招かれ手繰り寄せらる。 其処にいた者― 何処へ行った? ――――――――――――†―――――――――――― その声が聞こえたのは、必然だったのかもしれない。 『……何処行くの』 「え?」 教会で一人お祈りをしていた私...
27:夢見る日々の果て 文字数:約766文字 変わり逝く時代。 立ち止まっては― 振り返ってますか? ――――――――――――†―――――――――――― いつか…… いつか変われる日を夢見てる。 退屈でつまらない日々。 淡々と日々は過ぎていき、心に留まる...
26:消えない笑顔 文字数:927文字 いつか見た笑顔。 そのままでいては― いけませんか? ――――――――――――†―――――――――――― その子は始めから目立っていた。 黒い肌にキラキラ光る青い瞳。 僕達とは違う異邦人は、明るくて活発だった。 クラ...
25:雪狼の森 文字数:約698文字 白い小さな結晶の舞。 どこかで誰かが― 呼んでいませんか? ――――――――――――†―――――――――――― 風の音しか聞こえない山奥。 雪の舞う季節、あたり一面の白い空間。 その場所に小さな叫びが聞こえてくる。 い...
24:再生への樹木 文字数:約524文字 始まりゆえの終わり。 時の向こうに― 何が見えますか? ――――――――――――†―――――――――――― それは、小さなきっかけ。 とても小さくて誰も気づかないほど。 自身さえも気がつかないほどの。 終末― ...
23:眺める樹 文字数:約634文字 虚無と雑音と大空。 その向こうまで― 往けますか? ――――――――――――†―――――――――――― 雑音にかき消されて、その声は届かない― 小さな声で必死に伝えていた。 誰にも聞こえない微かな声。 人々は足早に...
22:人を眺める樹 文字数:651文字 目に見えない痛み。 他者の何気ない言葉― 気にしませんか? ――――――――――――†―――――――――――― 手を伸ばして届きそうな気がした。 緑の茂る大樹の下、私は幹にもたれる。 サワサワとなる木々の音に耳を澄ま...
21:星に佇む樹 文字数:約451文字 窓に広がる無限の空間。 その向こうまで― 往けますか? ――――――――――――†―――――――――――― 「還りたい」 それがばばの口癖だった。 「水が溢れ、樹が茂るあの大地へ―」 繰り返し繰り返し、僕に聞かせ...
20:泡色教室 文字数:約583文字 学び舎での最後の日。 小さな恋色― 探しませんか? ――――――――――――†―――――――――――― だーい好きだよ。 そう伝えられたらいいのに― それはちょうど帰ろうと教室を出た時。 「うわっ」 「え?」 人...
19:迷い森の天使達 文字数:約860文字 サラサラざわめく木々の間。 何処からとも無く― 声が聞こえませんか? ――――――――――――†―――――――――――― ……。 迷った。 地図を片手にうっそうとした森を見上げる。 そこには、天使達がヒラヒラと涼...
18:純白魔女 文字数:約766文字 真白き空気と真紅の雫。 純白ゆえに― 行き着いた先? ――――――――――――†―――――――――――― 『人は弱いから』 そう言って、弱々しく笑っていた。 女神と呼ばれた魔女。 僕があの人に会ったのは母に連れられて...
17:天使の空間 文字数:約634文字 刹那の空間。 また― 会えますか? ――――――――――――†―――――――――――― ここ……どこ? 気がつくとそこは白い空間だった。 光が降り注ぎ、風が通り過ぎる。 足元には延々と続く綿の絨毯。 「何しにきた...
16:天使の約束 文字数:約417文字 一つの小箱。 開きたい― 開けない? ――――――――――――†―――――――――――― 手の上には一つの小箱。 ついさっき見つけた。 机の奥深くで眠っていた小箱。 これが何なのか知っている。 私を解き放つモノ。...
15:天空少女たちのバレンタイン 文字数:約811文字 甘い砂糖菓子。 たまには少し― 息抜きに? ――――――――――――†―――――――――――― 「何?」 差し出されたそれを見て私はきょとんと聞き返した。 「チョコレート。頑張って作ってみました♪」 ...
14:草原 文字数:約249文字 見据えた先。 そこにあるのは― 何ですか? ――――――――――――†―――――――――――― サワサワと サワサワと ゆったりと時間が流れる。 目の前には黄金色の草原。 長い黒髪が風に揺られる。 ユラユラと ユ...
13:少女の問い 文字数:約434文字 それは常に隣にある。 生きるという事は― どういう事? ――――――――――――†―――――――――――― 「生きているって何?」 不意にその子は聞いた。 ひざを抱えたままソファーに座って、言葉を続ける。 「死にたい...
10:贅沢な寂しさ 文字数:約689文字 キラキラ耀くイルミネーション。 それが寂しいのは― 何故ですか? ――――――――――――†―――――――――――― ぺったりと窓に付けた手からヒンヤリとした感触。 「何を見ていらっしゃるのです?」 後ろから事務的な...
9:再生 文字数:約386文字 懐かしい思い出。 それは― 何時からあるの? ――――――――――――†―――――――――――― サクッ 踏みしめた雪が小さく音を立てる。 スッと見つめた先には古い大木。 がっしりと根を下ろし、悠々とそれは立っていた。 ...
8:夜の闇 文字数:約651文字 夜の闇と月の光。 泣き声が微かに響く― 何処から? ――――――――――――†―――――――――――― 風がゆっくりと通り過ぎる。 髪が微かに揺れた。 ……ここ何処? 昼間とは打って変った闇の空間。 ママ? 泣きそうに...
7:夕日 文字数:約505文字 煌めく夕日。 遠くを見つめる瞳に― 何が映る? ――――――――――――†―――――――――――― 男はただじっと夕日を見詰めていた。 風に舞う砂埃。 赤く染まる大地。 微かに光る空の星。 遺跡の中に入るでもなく、調べるの...
6:終わりの薔薇 文字数:約722文字 はらはらと舞い落ちる花弁。 人ならざる者の想いが―響いてきますか? ――――――――――――†―――――――――――― 崩れかけた遺跡の中。 冷たい風が脇を通り抜けていく。 赤い紅い薔薇の花園が広がっていた。 遺跡の...